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「在支二十五年」米国人記者が見た戦前のシナと日本 (上・下) [著]J・B・パウエル [監修]渡部昇一

[掲載]2008年03月28日夕刊

■激動の中国現代史を内側からつづった記録

 本書がアメリカで出版されたのは1945年のこと。それから63年を経て、初めての日本語全訳が上梓(じょうし)された。著者は1917年、本国アメリカを離れ『チャイナ・ウィークリー・レビュー』の編集長を務めるため上海へと向かった。以後『チャイナ・プレス』ほか数紙でペンをとり、アジアで最も影響力のあるジャーナリストとして活躍した。しかし日米開戦後、上海の収容所で日本軍から過酷な処遇を受け、衰弱した体で42年、帰国の途に。本書は、その25年間に起こった中国現代史における大転換を、現地にいて観察、記録した貴重な証言である。

写真  

 さらに、本書にはもうひとつ歴史的な意味がある。著者は戦後、収容所生活などについて証言するため、東京裁判に検察側証人として出廷した。にもかかわらず、本書は弁護側の資料としても申請されたのだ。日本にとって有利な記述があったためと考えられるが、すべてが却下された。日本語訳には、却下されたか、未提出となった本書該当個所が明記してある。

 著者の立場や体験を反映して、本書は親中反日色が非常に強い。しかし当時のアメリカ人の対日観・歴史観を知る上でも、格好の資料といえる。訳者による客観的な注釈に加え、巻末では、著者に関する詳細なプロフィルのほか、南京事件などの事件について改めて考察が加えられている。

    ◇

 中山理訳

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