ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>BOOK TIMES> 記事

BOOK TIMESロゴ

英語青年 4月号

[掲載]2008年03月28日夕刊

■『ロリータ』研究の動向を特集

 『ロリータ』は1958年、アメリカで刊行されるや否や大きな衝撃と影響を与えた。今年で半世紀がたつが、その文学的評価は一向に衰えることがない。『英語青年』最新刊は『ロリータ』を特集する。同書の新訳を手がけたことで知られる若島正の小論を筆頭に、中田晶子、皆尾麻弥、毛利公美等がそれぞれ独特の切り口で作家と作品を論じる。

 若島は近年のロリータ論の収穫を紹介しつつ、作家ナボコフが作品に埋め込んだチェスのイメージを詳細に分析。中田は、ナボコフの他作品に登場するロリータ像をたどりつつ、そのテーマとモチーフを明らかにする。一方、皆尾は、ユニークな作風で知られる米画家エドワード・ホッパーを取り上げ、アメリカの風景という視点で『ロリータ』に描かれる風景描写に鋭いメスを入れる。

 また、その衝撃的な登場にふさわしく『ロリータ』が半世紀たった今、政治分野で話題となった「テヘランでロリータを読む」論争を紹介するのは板倉厳一郎である。特別記事「ポストコロニアル・ロリータ」が興味深い。高度情報時代にふさわしくインターネットでの論争は、イランのステレオタイプ化の是非や文学作品の政治的利用といった方向へと向かった。まさに、「様々な文脈に耐えうるナボコフの作品の懐の深さ」(板倉)であろう。

ここから広告です

広告終わり

このページのトップに戻る