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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>BOOK TIMES> 記事 〈著者に聞きました〉母になったあなたに贈る言葉 浜文子さん[掲載]2008年03月28日夕刊 ■育児は科学ではなく文学なのです 子どもを産み終えた時、満ち足りた気持ちを抱けるお母さんもいますが、一方で「寂しさ」や「戸惑い」を感じるお母さんも少なくないのですよ。それが初産ならなおさらのこと。分娩(ぶんべん)台で「産むとはこうゆうことだったのか」とうちのめされ驚くのです。
私は10カ月育んできた小さな命が、自分から離れていった時、強い喪失感を抱きました。一つの体験に体と心がバラバラのまま、夜中の授乳が始まり育児がスタートします。そんな時「ちゃんと、この子を育てていけるのか」と不安になる母親がいても当然のこと。これまで「母である」ための本はたくさんあっても「母になる」時の内面を哲学した本はありませんでした。だからこの本を書こうと思いました。 メディアはアカデミズムの最新情報を母親に喧伝(けんでん)しますが、現場の母親は、さまざまな育児情報にまどわされ、わが子を抱く手がおののく。素直に抱き、触れれば、もっと自然に母と子の絆(きずな)は強まるのに。母性は子どもと理屈ぬきで接することから生まれるもの、育児は科学ではなく文学です。情報をかき集めても親にはなれません。私は「情報社会から情操社会へ」の移行を願っています。今、私は社会からも母性の欠如を感じます。受容し、待ち、寄り添うという、一種「祈り」に重なる感性の欠落です。子どもに真摯(しんし)に向き合えば、感性が磨かれます。子どもは親を無条件で受容し、信頼し、全身を委ねている。私の一編の詩に号泣し、育児が楽しくなったというお母さん方のお手紙が届きます。そんな詩を集めました。育児中の母親の一助になればうれしい。お父さん方にも読んでほしいですね。(談)
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