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土の匂いの子 [編著]相川明子

[掲載]2008年04月25日夕刊

■地域が子どもを育てる

 神奈川県鎌倉市に、「青空自主保育なかよし会」という会がある。1歳児から3歳児まで三十数人を、週に2、3回、野外に連れ出して遊ばせるのだ。専任保育者が2人、それに2、3人の親が交代で保育当番を担当する。園舎があるわけではない。鎌倉の山と海、今なお残る自然の中で、思いきり遊ばせたいと願う親たちによって運営されている。1985年の創設以来、20年以上にわたって、代替わりしながら、多くの子どもと親たちが会を通過していった。その現在の活動ぶりを写真と文章によって紹介したのが本書である。

写真  

 泥だらけになって遊ぶ、ケンカをして泣いている、自分より幼い子の手を引く。そこにはさまざまな表情が浮かび、単に「子ども」とひとくくりにはできない多様さがある。親は、保育当番となった際、そんな他人の子どもたちともかかわらねばならない。実は、そのことがとても重要なことだと分かる。著者は次のように説く。保育当番を経験することで、親の側の世界が広がり、人間性が豊かになる、と。子どもを育てることは親もまた育っていくことなのである。その当たり前のことが、他人の子どもたちとかかわることで認識できる。一人っ子家庭が増え、周囲に子どもそのものが見えなくなっている現在こそ、逆に「子育て」を見つめ直す良い機会なのかもしれない。

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