[掲載]2008年6月27日夕刊
■3本足の子犬が運んできた大きな幸福
3年前の初秋、俳優の柴田理恵さんに運命的な出合いが訪れた。ロケで訪れた名古屋市で、高架下に放置されたダンボールから聞こえてきたのは小さな鳴き声。テープでぐるぐる巻きにされた箱を開けると、中にいたのは熱中症で弱った2匹の子犬だった。1匹は、片方の後ろ脚が胴体に癒着(ゆちゃく)していた。子犬たちは柴田さんや番組スタッフたちの連携で動物病院に運ばれ手当てを受けるが、障がいのある子犬はもらい手がなく、動物病院で新しい飼い主を待ち続けていた。数カ月後、責任感に駆られた柴田さんは子犬を引き取る決心をする。こうして、「晴太郎」と名付けられた子犬は、子どものいない柴田夫妻の家族になった。
夫婦二人とも舞台の仕事をしている柴田さんにとって、犬を飼うことは一大決意だった。不規則な生活で早朝の散歩ができるのだろうか、ロケや公演で家を空けることも多い。しかし、犬との生活はそんな心配を吹き飛ばしてしまった。それどころか、3度にわたる大手術に耐えて懸命に生きる晴太郎は、柴田夫妻に大きな幸福をもたらしたという。3本足で歩く晴太郎の姿はつらい境遇の人に勇気を与え、友達のようだった柴田夫妻を“家族”にしたのだ。犬との暮らしを感動的につづる柴田さんの文章は、温かく爽(さわ)やか。晴太郎の写真も愛らしく微笑を誘う。
著者:柴田 理恵
出版社:ソニー・マガジンズ 価格:¥ 1,470
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