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用の美(上・下) [監修]日本民藝館 [撮影]藤森武

[掲載]2008年6月27日夕刊

■柳宗悦が愛した名品の数々に親しむ

 無名の職人がつくる日常の雑具に惹かれ、生涯にわたって蒐集(しょうしゅう)し続けた柳宗悦。彼の思想と審美眼が打ち立てた「民藝(みんげい)」という美の基準は、今なお燦然(さんぜん)と輝いている。日本民藝館が所蔵する珠玉のコレクションを撮り下ろした本書は、柳のたぐいなき「眼の力」を余すところなく伝える。柳の思想を受け継ぐ学芸員の文章も力強い。

 上巻は「日本の美」。常滑や丹波、古九谷などの陶磁器や漆器、沖縄の抱瓶など、庶民の暮らしに寄り添ってきた器が第1章を彩る。第2章は、船箪笥(たんす)やアイヌ工芸などの家具と調度。江戸時代につくられた真ちゅう製の燭台は、思わず息をのむほど無駄のない美しさだ。第3章では衣や裂(きれ)を紹介。沖縄の紅型(びんがた)やアイヌの衣装などのセンスは、今見ても斬新である。第4章は、木喰(もくじき)仏をはじめとする彫刻、大津絵などの絵画が印象的だ。

 下巻は、「李朝と中国、西洋の美」。中心は李朝の品々。今日よく知られる白磁などの器や箪笥に加え、石工や民画などの珍しい品々もたっぷり見ることができる。石彫の水注などのシンプルかつ豊満な形状は、驚くほど現代的だ。明の陶磁器や六朝の拓・碑、台湾の色鮮やかな衣装などの美を、西洋ではスリップウェアの器をはじめ椅子(いす)や棚といった家具などを取り上げている。生命がほとばしる美の世界に遊ぶ好著である。

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