[掲載]2008年6月27日夕刊
■放浪の俳人・山頭火の語録集
「分け入つても分け入つても青い山」「鴉(からす)啼(な)いてわたしも一人」などで知られる俳人・種田山頭火の語録集である。各地を放浪しつつ句を詠んだ山頭火は、日記や書簡、随筆に、心の叫びやつぶやきともいえる言葉を数多く残している。
無類の酒好き、かつ自由奔放に生きた山頭火だが、実は繊細かつ神経過敏な男でもあった。日々のできごとを記録しながら、ときには自分を責め、自戒の言葉をつづり続けたのである。これらの言葉は山頭火の俳句や生き方を反映するだけではなく、彼の心の振幅と屈折を示す。それらは一見、開き直りにも見える内省的な言葉でもある。改めて私たちは山頭火の心の闇を思わずにはいられない。山頭火研究家であり、編者でもある村上護氏によれば、山頭火は托鉢(たくはつ)を通じて、すなわち「行乞(ぎょうこう)」と呼ばれる物乞(ご)いを続けながら戦前の昭和の庶民生活とじかにふれあった。その哀感をつぶさに観察し、記録に留(とど)めたのである。
本書は大きく「旅」「俳句」「人生」の三つの章に分類されているが、巻末の年譜と照らし合わせて読むと、それぞれの言葉をさらに興味深く味わうことができる。ちなみに、「よき本はよき水の如し、よき水はよき本に似たり。」(昭和9年5月21日の日記より)は「俳句」の章に収められている山頭火の51歳の言葉である。
著者:種田 山頭火・村上 護
出版社:春陽堂書店 価格:¥ 1,890
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