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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>愛でたい文庫> 記事 愛でたい文庫 海の仙人 [訳]絲山秋子[掲載]週刊朝日2007年02月02日号 昨年芥川賞を受賞した著者。本書は03年発表の中篇で、お国の推奨作(芸術選奨文部科学大臣新人賞)だから言う訳ではないが、これから著者の本を読んでみようという人にお薦め。世代や年齢を選ばない現代の寓話だ。 主要な登場人物は3人+α。若くして大金を得、敦賀で半隠遁生活を送る33歳の河野勝男、彼と遠距離恋愛をする5歳上の転勤族中村かりん、勝男に片恋している元同僚の片桐妙子。冒頭、それぞれの車が持ち主の気質を代弁する。河野はオレンジ色のダットサン・ピックアップ(質実の生活人)、かりんはカーキ色のジープ(独立自尊の女)、片桐は真っ赤なアルファロメオGTV(男性的思考の女カサノヴァ)。物語は彼らの出会いや再会など、つごう8年の歳月を描く。 その間、いいダシを出し続けるのが+αこと「ファンタジー」の存在だ。自分を俺様と言い、神様の親戚だと称するわりには御利益のカケラもないただのカレー好きのおっちゃんなのだが、ある時は誰かの孤独の背中を押し、ある時は誰かの孤独に寄り添い、またその似姿になったりする。著者の小説は会話の間合いも面白い。音楽シーンも含め“耳の作家”だとつくづく思う。 ここから広告です 広告終わり 愛でたい文庫 バックナンバー
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