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愛でたい文庫

ブスのくせに! 最終決定版 [著]姫野カオルコ

[掲載]週刊朝日2007年02月16日増大号
[評者]温水ゆかり

 姫野式顔ウォッチングの書。12年前の単行本のあと、大幅加筆で文庫になり、それをまた一文字目から書き直しての再文庫化(「ケータイ雑誌theどくしょ」で配信)。これにて”改稿打ち止め”というだけあって、読み応え十分の強力作になっている。

 さて、美人とはなんぞや。世評に高い美人を”ワタシはそう思わない”という経験はよくある。それだけ美の感得は、個の情緒に左右される。本書の題名はそれをネガに反転させた謂いであり、「ブスのくせに」の”くせに”がその情緒部分である。

 著者はこの情緒を「溜まり」と称し、そこに渦巻く勘違い、嫉妬など数々のメカニズムを明らかにしていくのだが、これがめっぽう面白い。頷く、膝を打つ、黒く笑う。芸能界の整形美男美女地図(一部伏せ字の人名当てクイズでも)、「美人じゃないけどかわいい」女の系譜、関西と関東では、三大いい男成分=「やさしい」「男っぽい」「おもしろい」の配合が変わる戯文にも爆笑する。いやはや、やっぱり実名入りエッセイは猫のミルクだ。

 両性具有の眼で”女という群れの中の女の立ち位置”を描き続けている姫野文学の、ラッキョの芯のような副読本としてもお薦め。

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