|
ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>愛でたい文庫> 記事 愛でたい文庫 真夜中に捨てられる靴 [著]デイヴィッド・マレル[掲載]週刊朝日2007年06月01日号 文庫初出の短編集。なんらかの理由で、妄執の地獄巡りに墜ちた人々を描く。 毎回違った靴が教会の前に捨てられる謎に魅入られ、独自の捜査をする過程で、警官としての立場や家庭も失う男の執念を描く表題作ほか、会話の断片だけで物語の内部圧力を高めていく「エルヴィス45」、若さを珍重するハリウッドに、一泡ふかせてやろうとした実力派脚本家が陥る罠を描く「ゴーストライター」など計八篇。中でも、娘を連続殺人鬼に殺された父親の懊悩と末路を描く「何も心配しなくていいから」は、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』にも通ずる哀愁を持っている。 本書でもう一つ読み応えがあるのは、各編に付いたエッセイやあとがきだ。「ランボー」の原作者としてマッチョ臭いマレルだが、裏稼業はアイオワ大学の英文学教授。そのためエッセイが創作の秘密に触れる“ちょっといい話”だったり、文学講義になっていたりするのだ。ミレニアムというお題のアンソロジーに応えて書いた一編を読むと、米国のアンソロジー界の豊かさ(企画編集力)と同時に、社会学の書など広範な読書をしていることが知れるマレルの着眼点にも唸るのである。
ここから広告です 広告終わり 愛でたい文庫 バックナンバー
|
ここから広告です 広告終わり 売れ筋ランキングコラム
|