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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>愛でたい文庫> 記事 愛でたい文庫 マンハッタン・オプ [著]矢作俊彦[掲載]週刊朝日2007年11月30日 ■その手練れぶりを堪能されたし 複数の出版社から出たハードボイルド短編集を集めて再編集。絶版だったので、今号が出る頃には揃う全4冊で、80年代初期の矢作俊彦に触れる貴重な資料になるはずだ。 書かれてから約四半世紀を経て読む効用ははっきりとあって、バブル前夜はオシャレな短編集でも、今読むとパロディ精神が際だつ。LAを描いたチャンドラー精神でマンハッタンを歩くとどうなるか。楽しむべきはこの点における著者の手練れぶりで、各題名は例えば「TEA FOR TWO」のようにすべてジャズのスタンダードから。その短編に「フランス人は、人生のあらゆる場面に、それぞれ相応しい美しい言葉を持っていて」と『長いお別れ』を谺(こだま)させたり、他では「秋は一昨日、タイト・スカートのスリットから素晴しいふくらはぎをちらつかせ」とマクベインの声を響かせたり(元歌はT・S・エリオットとの説あり)。芸達者ぶりには思わず笑う。 ところでなぜマンハッタンだったのか? それはもう“LAのような田舎が嫌いだから。取材に行きたくなかったから”。違います? 矢作さん。街のリサーチが素晴らしく効いている。今やマンハッタンに関する歴史書でもありますね。
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