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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>愛でたい文庫> 記事 愛でたい文庫 工藤写真館の昭和 [著]工藤美代子[掲載]週刊朝日2008年02月15日号 ■家族を通じて伝わる昭和の鼓動 昭和が終わった直後〈朝日ジャーナル〉で連載開始、91年講談社ノンフィクション賞を受賞した。昭和ブームもあってか、13年を経ての好著復刊(再文庫化)。 戦前の国技館は、駅をはさんで現在の建物とは反対側にあった。その国技館脇の横丁に昭和4年、著者の祖父である工藤哲朗は写真館を開く。哲朗は陸軍航空隊所属の撮影技師だったが、軍縮のあおりでリストラの憂き目に。40歳での転身だった。青森出身ながら卓袱台をひっくり返すような江戸っ子気質の哲朗。浅草生まれなのに、おっとりした妻のやす。五男一女に繁茂していく一家の姿を通して、町場の生活誌、庶民の昭和史をいきいきと描き出す。 哲朗の写真が素晴らしい。家族写真はもとよりチンドン屋、カフェ、当時の花形力士達、宮城前広場の群衆パノラマ写真や空襲後の工藤写真館の残骸など、どの写真からも昭和の鼓動が伝わってくる。 に、しても、著者は表紙の祖母になんと生き写しであることか。著者のコスプレ写真かと錯覚したほど。本書にあった「先祖代々デベソの伝わり」という言葉を愉快に思い出す。テーマと素材の幸福な出会い。著者の筆致がなにより明るく伸びやか。
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