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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>愛でたい文庫> 記事 愛でたい文庫 最後の陪審員 [著]ジョン・グリシャム[掲載]週刊朝日2008年02月29日号 ■昔捨てた男に会ったら意外と…の感じ 本の帯にはかつて苦心の跡があった。中身を読んで帯に戻ると“なるほどねえ”と感心。ところが本が売れなくなった頃から、強度ある言葉での逃げ切りが目立つようになった。いわば、帯のピンポンダッシュ小僧化。本書の「完全復活」とか「著者最高傑作!」はどうなんだろう? 文庫初出。 大学のジャーナリズム学科で学んだ主人公ウィリー。ミシシッピ州にある小さな新聞社に就職した早々会社が倒産、資産家の祖母に買収資金を提供してもらい、若き社主兼駆け出しの記者として再建に乗り出す。部数増の追い風になるのは、残虐なレイプ殺人事件。物語はその裁判と、犯人が釈放された9年後、当時の陪審員が殺され始めるつごう10年間を描く。 作家の中には売れ始めたとたんつまらなくなる人がいて、私にとってはこの“巨匠グリシャム”がそう。しかし本書は好感度高し。迫真のリーガル度こそ低いものの、1970年代を描く南部小説、ちょっとお馬鹿な若造クンが大人になっていく成長小説として、「愛らしい小品」と呼びたくなるホームメイドの温かさがあった。昔捨てた男に久しぶりに会ったら、意外にこざっぱりしてた。なんか、そういう感じです。 ◇ 白石朗訳
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