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愛でたい文庫

本業 [著]浅草キッド 水道橋博士

[掲載]週刊朝日2008年05月02日号
[評者]温水ゆかり

■タレント本が時代の証言の書に

 つごう50冊のタレント本を紹介する書評集。絶品。度胸のよさと文章の巧さに腰を抜かす。

 そもそもタレント本とは何なのか。旬の時季に出荷、賞味期限内に荒稼ぎするのが王道。いわゆる書評にはあまり向かない。ところが本書はそこを鮮やかに覆す。例えばあえて本書の中でも鮮度は最低と思われる『わたしはアニータ』を取り上げれば、こんな引用箇所が凄まじい。「鍵となるのは最初の2ケ月。その期間を男に無償で捧げる。しかし、男たちはあとで、一生かけてその代償を払うことになる」。シビれる、いや、青森県民じゃなくともシバれる。

 鋭いアングル、適切な引用、(語義矛盾だが)歯に衣着せぬ愛など、優れた評者の手にかかればタレント本は時代の証言の書となる。旬を過ぎたタレント本は人文科学や社会学の棚に移されるべきだろう。名著を人目に晒すという意味では野中広務の『老兵は死なず』はタレント本コーナーへ。

 さて、博士の本業問題である。岡山大学附属中学時代にルポライターに憧れ、ビートたけし門下でルポ根を磨き、『お笑い男の星座2』では大宅壮一ノンフィクション賞の候補作の一歩手前までに。マジ、初心なのだった。

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