[掲載]週刊朝日2008年5月16日号
■カリスマ達の“コーヒー道”
人物列伝+蘊蓄。自家焙煎のカリスマ達の姿を通して“本物のコーヒーとは”を伝える。
登場するのは銀座「カフェ・ド・ランブル」の関口一郎氏、地域の人々と共にある山谷こと南千住「カフェ・バッハ」の田口護氏、村松友視氏(視は示に見)も通う吉祥寺「もか」の標交紀氏。三者はおいしいコーヒーという同じ峰を目指しながら、登山口も到達した山も違う。関口氏は外国の文献で生豆は寝かせると質が向上すると知り、自宅にエイジング・ルームを備えるオールドクロップ(枯れ豆)派の教祖に。田口氏はドイツコーヒーに惹かれ、職人のカンは数値化して共有すべきという革新性で沖縄サミットのコーヒーを担当(使われたのは我々も買えるバッハブレンド)。標氏は向かいの焼鳥屋の匂いに対抗してフライパンで煎ってみたのが自家焙煎に開眼するきっかけ。文庫になる前惜しくも亡くなったが、生涯鬼気迫る求道者だった。
職人ものでも、寿司などと違って世界の見取り図の中で日本のコーヒー文化を論じているのが風通しいい。だってコワイいよ、コーヒー一杯で説教食らうのは。著者は「喫茶店経営」の元編集長。この方、明るい“頑固おやじフェチ”です。
著者:嶋中 労
出版社:中央公論新社 価格:¥ 780