[掲載]週刊朝日2008年6月6日増大号
■活劇あり恋ありのゾロ前史
金の卵怪傑ゾロ。ここらで栄養補給をと、著作権所有者から依頼されて南米の女性作家、アジェンデが腕をふるったゾロ前史。米国の著作権ビジネスはさすがに欲深い、じゃなかった、奥深いですね〜。
舞台は当然カリフォルニア。どんな出自になったかといえば父はスペイン人大尉、母はインディアンの女戦士という美しきハイブリッド。名をディエゴといい、母の部族の儀式でゾロ(狐)を魂の導き手に。相棒ベルナルドは乳兄弟という設定だが、相次いで生まれたのに牡牛座(思慮深い)と双子座(陽気な二重人格者)と分けたのも芸が細かい。
乳兄弟と15歳で父の故国に留学。欧州はナポレオン時代。活劇あり恋あり、ロマ族、秘密結社、恋敵の奸計、令嬢達を連れてのエクソダス、海賊の襲撃など、波瀾万丈の20歳までが描かれる。この伝記には書き手がいて、恋の機微になると俄然お茶目。最後に誰かが明かされるのも愉快。
読む前は、アジェンデこんな仕事をしちゃうんだと訝ったが、読後は白羽の矢を立てた著作権者の賢さに感心。著者はスペインで発症した愛娘をカリフォルニアで看取った。同ルートを辿った彼女の“涙のふみわけ道(ティアーズ・トレイル)”も、この冒険譚で癒されたに違いない。
著者:イサベル・アジェンデ
出版社:扶桑社 価格:¥ 840
著者:イサベル・アジェンデ
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