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花散らしの雨―みをつくし料理帖 [著]高田郁

[掲載]週刊朝日2009年11月27日号

  • [評者]温水ゆかり

■見逃せない おしん的吸引力

 人気の文庫書き下ろしシリーズ第2弾。「つる家」の雇われ料理人、20歳になった澪(みお)の料理にかける情熱と奮闘を描く。江戸版チャングムのようだが、こちらは市井が舞台。本書では武家屋敷の多い九段坂下に店を移し、春の蕗ご飯から夏野菜までの旬を工夫。江戸のミシュランこと料理番付を巡り、名店「登龍楼(とりゅうろう)」が仕掛ける因縁の戦いもますます陰湿だ。

 澪は大坂出身の天涯孤独。江戸に出てきた経緯は第一弾の『八朔(はっさく)の雪』に詳しいが、このシリーズは人情ものと料理をドッキングさせたところが実に発明。前者で、例えば澪の幼馴染みの“こいさん”が吉原一の太夫になっていることなど人のエピソードを繁茂させ、後者で上方と江戸の違いなど味の捕物帖ともいうべき求心性を発揮。興趣が2段仕込みなのだ。

 おしん的な吸引力も見逃せない。幼い頃、有名易者が澪を見て「雲外蒼天」と。艱難辛苦が降り注ぐ運命にある。顔は愛嬌ある下がり眉、性格はけなげな頑張り屋。年頃だもの、恋の目覚めだってある。開幕作は15万部、この第2弾もすでに10万部。固定読者は30代から60代の女性。伏線が巧みすぎて次が待ちきれない。

表紙画像

花散らしの雨 みをつくし料理帖

著者:高田 郁

出版社:角川春樹事務所   価格:¥ 600

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