マンガやアニメといった日本のポップ・カルチャーが、「クール・ジャパン」として注目されて久しい。「鉄腕アトム」がアメリカで放送されてから四十数年。今や「オタク」という言葉も国際語になった。
本書は日本文化が持つ強みとコンテンツ産業の明るい未来を説く。「ガンダム」に影響を受けたデザインの車など、日本のマンガやアニメが、思わぬ形で国内外に浸透していることに驚く読者もいるだろう。「オタク」を自認する人は、勇気付けられるかもしれない。
著者によれば、出版、放送、映画、ゲームといった産業がデジタル化によって統合され、通信、家電、自動車などの異業種と結びつくことで、今までにない巨大なビジネス・チャンスが生まれるという。
この新産業が「日本を、新しい次元へと牽引(けんいん)する」と、なんとも勇ましいが、この分野を取材した経験から言うと、アニメの場合、業界が抱える構造的な問題は根深い。著者はコンテンツ業界の人材育成機関、デジタルハリウッドの学校長なのだから、経営センスを持つプロデューサーの不足など、解決すべき課題にも、もう少し踏み込んでほしかった。
バラ色の明日が現実のものとなるためには、本書にもあるように、優秀なプログラマーの育成も急務だ。大学院で物理学を修めた人がCGアニメを作る。それが当たり前になれば、ハリウッドも恐るるに足りず、と言えそうだ。