来るべき「コンセプトの時代」には、MBA(経営学修士)ではなくMFA(美術学修士)取得者に成功が約束されているらしい。弁護士、医者、プログラマーといった左脳型の「ナレッジ・ワーカー」が高給を得た「情報化の時代」は終焉(しゅうえん)を迎え、芸術的で創造性に富み(ハイ・コンセプト)、他人と共感できる能力を備えた(ハイ・タッチ)右脳主導思考の個人が社会を動かすというのだ。
本書の翻訳者でもある大前研一氏は、情報化社会を予見したトフラーの『第三の波』になぞらえて、これを「第四の波」と評している。
著者は、クリントン政権下で労働長官補佐官やゴア副大統領の首席スピーチライターも務めた気鋭の論客。前作『フリーエージェント社会の到来』同様、本作もアメリカで話題となったようだ。
豊富な事例で、皆が漠然と感じているものをきちんと描き出し、なかなかに説得力があるが、「ゆとり教育」の記述など、日本に関する事実誤認は少々気になった。
新時代に備え「デザイン、物語、全体の調和、共感、遊び心、生きがい」の六つの感性を磨くべしと著者は説く。つまり、コンピューターで代用可能な業務が増え、財務分析などの高度な仕事もコストの安い海外に流れる。左脳型の専門職も安泰ではないというのだが、さて、IT長者になれなかった文系人間に“敗者復活”の道はあるのか。