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ビジネス書

「個」を見つめるダイアローグ [著]村上龍・伊藤穣一

[掲載]2006年07月09日
[評者]清野由美(ジャーナリスト)

 日本社会の問題点について作家の村上龍と、IT起業家の伊藤穣一が対話を重ねた。村上より14歳年下の伊藤はアメリカ育ち。世代経験も文化・職業的な背景も違う2人が、共通して抱く危機感は、高度成長を終え、国際的に名が知られても、日本がなお特有の「閉じる」性質から抜け出せないでいることだ。

 古くは根付けや盆栽、今ではアニメのように、ひとつの世界を細部まで繊細に研ぎ澄ませていくことは、日本人の得意ワザである。技術立国としての戦後の経済復興も、その特性は大いに作用したはず。だが、洗練とは閉鎖性と表裏をなす。ちまちまと「内側」に没頭している間に、世界は容赦なく変貌(へんぼう)を重ね、極東の島国に圧力を突きつけ、内は内で静かに腐っていく。

 国際情勢から時事、歴史まで話題は広範。スピード感のある対話から、「世界的な視点で物事を考える習慣を多くの日本人がもたないまま、一方では日本の文化や製品は高い評価を受けている」(伊藤)という、今の日本が抱えるたわみが浮き上がる。

 声高に自国批判をぶち上げるのではなく、まずそのたわみを知ることに2人は時間を割いている。いろいろな問題を抱えながらも「日本は歴史上、現在もっとも良い時代を迎えている」(村上)という認識が底にあるので、単純な批判本にない説得力が出た。


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    書籍詳細

    表紙画像

    「個」を見つめるダイアローグ

    • 著者: 村上 龍・伊藤 穰一
    • 出版社: ダイヤモンド社
    • ISBN: 4478942269
    • 価格: ¥ 1,680

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