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ビジネス書

ニッケル・アンド・ダイムド [著]B・エーレンライク

[掲載]2006年08月20日
[評者]加藤出(エコノミスト)

■恥ずべき? 便利な生活

 「格差社会先進国」であるアメリカのワーキング・プア(働く貧困層)の実態を本書は生々しく描写している。原書はアメリカで100万部を超すベストセラーとなった。ジャーナリストである著者は、ウェイトレス、清掃作業員、ウォルマート店員など時給7ドル前後の過酷な低賃金労働者の暮らしを実体験する。

 1999〜2000年のアメリカはITバブルに沸いていた。しかし低賃金労働の時給はほとんど上昇しない現実に、著者は愕然(がくぜん)とする。企業は彼らの賃金を「持てる力を総動員して」抑制していたという。一方で、住宅価格高騰に伴う家賃上昇が彼らの住環境を劣悪にしていた。

 著者は終章で、グリーンスパンFRB前議長が「賃金インフレ」の問題はなさそうだと議会で「嬉々(きき)として」報告していた点を皮肉っている。中央銀行の使命は長期的な物価の安定にあり、貧困対策などの所得再配分は管轄外だ。経済学的にはそれが正しいが、しかし、低所得者層にそのままでいろと言っているように聞こえるグリーンスパンの証言に著者は納得がいかないのだろう。

 便利な生活が低賃金労働の存在に依存しているならば、「私たちが持つべき正しい感情は、恥だ」と著者は主張している。ウォルマートは今月7日、1200店舗で新入社員の賃金を6%引き上げると発表したが、恐らく本書の批判も影響したのではないか。


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    書籍詳細

    表紙画像

    ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実

    • 著者: B.エーレンライク
    • 出版社: 東洋経済新報社
    • ISBN: 4492222731
    • 価格: ¥ 1,890

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