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ビジネス書

遠距離交際と近所づきあい [著]西口敏宏

[掲載]2007年03月25日
[評者]勝見明(ジャーナリスト)

■思わぬつながりが生む成功

 独り暮らしを始めるための交際術の本、のような書名だが一橋大学教授が書いたれっきとした経営書だ。組織間関係論が専門の著者が着目するのは、人と人とのつながり方だ。

 例えば、能力はあるつもりなのに仕事で伸び悩んでいる人は、上司や取引先との濃密な「近所づきあい」に埋もれてはいないか。成功する人は通常なら結びつかない人や組織との間にバイパスを通し、「遠距離交際」で得る情報で差が出るという。

 重要なのは「遠距離交際と近所づきあいの良いとこ取り」で、典型例として登場するトヨタ自動車と部品メーカーとの関係が興味深い。特に97年にグループ企業アイシン精機の工場で火災事故が起きた際、遠近の絶妙なつながりにより短期間で復旧した話は引き込まれる。

 本書のベースにあるのは、「知人の知人は知人」のようにたどって情報伝達経路のつなぎ直し(リワイヤリング)をすると、実は「世間は狭い」というスモールワールド・ネットワーク理論だ。転職の際も、互いに持つ情報が似通う「親しい友人」より、重複が少ない「遠い知人」が決定的役割を果たす、と通説を覆す。

 後半は政府機関への応用による行政改革を論じる。興味次第で「読み飛ばしても構わない」と著者。本来のテーマを超える記述もあるが必要に応じて読めばいいだろう。手近なハウツー本もいいが一見遠くに見える経営書にリワイヤリングしてはどうか。

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