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ビジネス書

トヨタはどうやってレクサスを創ったのか [著]高木晴夫

[掲載]2007年11月11日
[評者]勝見明(ジャーナリスト)

■トヨタの中に非トヨタを創る

 「レクサスプロジェクトを研究者の視点で書き残してほしい」。トヨタから依頼された慶応大学ビジネススクール教授が関係者への丹念な取材をもとにまとめた事例研究本だ。

 理論よりドキュメンタリー中心の記述に挑戦しているのは大歓迎だが、前後関係をもう少し整理すれば流れがわかりやすくなるのに、と思われる部分もやや散見する。

 そこで読者には、思考の補助線として一つのキーワードを念頭に読み進めることをお勧めしたい。人と人、組織と組織の横串の「リンク(つながり)」がトヨタの中でどのように張られていったか。

 すべての客を「拾いまくる文化」を持つトヨタが特定階層向けのプレミアムブランドを生み出す。そこには最強の大衆車メーカーゆえの困難さがあった。最大の敵はトヨタ。「トヨタの引力」にいかに抗していくか。仕掛け人たちは縦割り組織に多様な横串のリンクを張りトヨタ内にレクサスという異文化の「バーチャルカンパニー」をつくり上げた。

 トヨタにはもともと縦の強いつながりと同時に柔軟な横展開の風土がある。その意味で、非トヨタ的なものをトヨタ的な能力で創出したプロセスの大胆さと細心さに舌を巻く。

 随時最適なつながりが生まれ、誰もが問題解決の共通基盤を持って成し遂げる。カイゼンとは違った強さを実感したら組織論学者を起用したトヨタの依頼は成功したといえる。

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