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ビジネス書

CEO VS.取締役会 [著]アラン・マレー

[掲載]2008年02月10日
[評者]勝見明(ジャーナリスト)

■トップの”解任”劇をリアルに

 05年2〜3月、米国の巨大企業で最高経営責任者(CEO)が続けざまに事実上解任された。あまりにも権力を掌握しすぎたヒューレット・パッカード(HP)社のカーリー・フィオリーナ、経営倫理回復を唱えながら自身は社内不倫をしていたボーイング社のストーンサイファ、世界最大の保険会社AIGに37年間帝王として君臨し、最後は不正を暴かれたグリーンバーグ。

 ウォールストリート・ジャーナル紙の著名コラム執筆者は前半、三つの“解任”劇を実名入りでリアルに再現し、読者を一気に引き込む。

 取締役会の反乱。著者が解任劇を通して描くのは企業権力の大転換だ。CEOが絶大な力を持ち、取締役会も支配し、巨額の報酬を得た時代は01年のエンロン事件以降の一連のスキャンダルにより終焉(しゅうえん)。内部統制強化を求めるSOX法や新規制で独立性を高めた取締役会へと権力がシフトした。年金ファンド、株主助言サービス、NGO(非政府組織)など、経営にものいうアクティビスト(活動家)の台頭が後押しする。

 後半、HP社の取締役会内部での情報漏洩(ろうえい)をめぐる犯人捜し、報復……と新しい世界の混乱状態も示す。そして、アクティビストとも協調する新時代のCEOたち。丹念な取材と細部にわたる描写で引きつけつつ、企業統治のあり方を問う構成力に脱帽。日本版SOX法導入前夜、本家の事情を知る好著だ。

    ◇

 山崎康司訳

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