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ここから本文エリア ビジネス書 貧乏するにも程がある―気の滅入らない極貧話 [著]長山靖生[掲載]2008年02月24日 ■気の滅入らない極貧話 芸術家の壮絶な貧乏伝説が紹介されている。貧乏な上に破滅型だった石川啄木、極貧ゆえに家族を解散した葛西善蔵、借金魔でありながら周囲に愛され続けた内田百けん(「けん」は門がまえの中に月)、高給取りではあったが人に金を鷹揚(おうよう)に貸すため家計は危うかった夏目漱石、出張費をつり上げようとした芥川龍之介など興味深い逸話が載っている。 著者の関心は「自分らしく生きたいと思う人間の経済状態」に向けられている。「日本経済は、庶民のレベルではもう上向くことはあり得ないのではないか」と予想するがゆえに、貧乏芸術家から「低空飛行の経済戦略」を学ぶことが推奨されている。ただし、本書の語り口は軽妙洒脱(しゃだつ)であり、極貧話を読み進むうちに気が滅入(めい)るようなことはない。 漱石ら一部の成功者を除けば、現在の価値観でいえば彼らの多くは経済的には「負け組」に分類される。著者は「勝ち組」「負け組」という二分法が蔓延(まんえん)したことの最大の弊害は、「『経済以外の基準がない』という点に尽きる」と嘆き、「仕事を通して『生きがい』や『自分らしさ』、『人間の尊厳』を持ちたいと思ったって、いいじゃないか。しかし、日本社会は今、そういう贅沢(ぜいたく)を許さない方向に進んでいる」と怒っている。 内田百けんの時代より日本経済ははるかに豊かになったはずだが、社会の寛容さが後退しているのはなぜだろうと考えさせられる本である。
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