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ここから本文エリア ビジネス書 まぐれ [著]N・N・タレブ[掲載]2008年03月09日 ■成功も失敗も偶然と断言 読了した夜、たまたまテレビで痴漢冤罪がテーマの映画を見た。有罪率99.9%なのに主人公が無実を争ったのはなぜか。物語は勝てる確率が高まる一方で、途中交代したタカ派裁判官が「無実とは断定できない」と別の確率から有罪判決を下す。これは確率論の話だと思ってしまったほど、一読して「すべては運や偶然や確率で左右される」と刷り込まれる本だ。全米ベストセラー。 ファンドトレーダーであり、不確実性研究の大学教授でもある著者は、「トレーダーが成功するのは偶然による」といい切る。いわく、人は成功すると実力と勘違いし、やがて失敗すると運のせいにする、と。持論が猛反発を招いても動じない。 なぜ、勘違いするのか。無限大匹のサルにタイプライターをたたかせれば、文学を書き上げるサルが1匹は出る。その1匹の“才能”を信じてしまうように、人間の脳はもともと確率論による合理的判断が不得手であることを解き明かす。ただ、偶然に振り回される不確実性のなかにあっても、人がポンッと近道的に判断できるのは喜怒哀楽の「情緒」が潤滑油の役をしているからだという。そして仕事では合理的であろうとする著者自身、情緒的な面があるからエネルギーが湧(わ)くと告白する。 ベストセラー『国家の品格』で合理主義の限界を看破した数学者藤原正彦氏が重視したのも情緒だ。日米の一致は偶然か、必然か。 ◇ 望月衛訳
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