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ビジネス書

行政不況 [著]中森貴和

[掲載]2008年03月23日
[評者]加藤出(エコノミスト)

■なぜ、健全な業者まで倒産?

 法改正ラッシュに伴う規制強化が日本経済を苦しめている。「行政不況」と呼ばれる所以(ゆえん)だが、本書はそれを招いた背景を分析し、政府・行政の不手際を厳しく批判している。非常に時宜を得たテーマである。改正貸金業法、改正建築基準法、金融商品取引法、特定商取引法などに共通する考え方は、「消費者保護」「反社会的勢力の排除」だ。著者はその目的自体は否定していない。

 しかし、ドラスティックな法改正が、健全な業者までも倒産に追い込んでいる。しかも、「一連の法改正が、互いに“負の連鎖”を作用させ始めている」。例えば、住宅、不動産、ゼネコン業界では、改正建築基準法によって着工件数が落ち込み、金融商品取引法が不動産市場への資金流入を細め、改正独禁法が工事利益の低下に追い打ちをかけているという。更に、「反社会的勢力の排除を掲げているにもかかわらず、逆にアングラ勢力の増長という、本末転倒の事態を招いている」という。

 なぜこんなことになってしまったのか? 政治の機能不全が常態化する中で、行政・官僚がイニシアチブを取っている。しかし、縦割り行政の弊害が出ており、「明確なセーフティーネット、新たな需要創出策もないままに、規制の強化が進んでいる」と著者は警告している。全体のバランスが考慮されずに政策判断が進められてしまっては、国民は不幸になってしまう。

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