[掲載]2008年5月11日
■「格差」は多様な生き方か
「ワーキングプア」を扱ったTVドキュメンタリーに衝撃を受けた著者。日本の格差問題を「なんとかしなくちゃ!」と奮い立ち、車、住宅地、クレジットカードなど、テーマごとに現地取材とデータ分析を試み、上流と下流の落差をあぶりだそうとする。その成果の一つが第1章「ベンツ格差」。東京都港区では乗用車保有台数の半分が(価格や維持費の高い)輸入車、そしてその半分がベンツだという検証結果を得る。
それへの対比として登場するのが、軽自動車保有率ナンバーワンの高知県。ところが高知では軽に対して「経済的」「最近のはかわいい」と肯定的な意見ばかりで、格差感はみじんもない。結局、そこにあるのは「究極の合理主義」で、逆に「クルマがまだステータスシンボルという意識において『後進的』」な港区があぶりだされる。
「芦屋市六麓荘町(ろくろくそうちょう)VS.尼崎市」や「5億円OKのカードホルダーVS.自己破産者」「生活保護率日本一の大阪市西成区VS.同最低の富山県」など、格差の現場を求めて取材を続けた著者が最終的に発見したのは、悲惨さというよりは様々な生き方ができるようになった日本の姿。「好きなように生きていいので、頑張る人はあらゆる方法で頑張っていい。頑張れない人は頑張らなくてもいい。だから格差が拡大しているんじゃないだろうか」。深刻な顔で語らないところに、かえってリアリティーがある。
著者:清水 草一
出版社:扶桑社 価格:¥ 756
ここから広告です
広告終わり