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案本 [著]山本高史

[掲載]2008年5月25日

  • [評者]梶山寿子(ジャーナリスト)

■キーワードは「脳内経験」

 「選ばれないアイディアは、ないのと同じ」。のっけから強烈な言葉が登場する。では、どうすれば選ばれる提案を生み出せるのか――その方法論をわかりやすく説くのが本書だ。

 著者は、カローラフィールダーやジャパネットたかたの広告で知られるクリエーティブ・ディレクター。自身の試行錯誤も交えながら、その発想の裏側を惜しみなく公開する。

 鍵となるのは「経験」である。「このおもしろさが理解できないなんて!」と上司やクライアントを恨むのは筋違い。選ばれないのは、提案者が世間や人間を知らないから。「経験=知ること」によって「経験データベース」という「アイディアの水がめ」を満たすことが必要なのだ。

 だが漫然と経験を繰り返しても意味はない。意識的に経験を増やすため重要となるのが脳内経験である。脳内経験とは、実体験をきっかけに頭の中で推測したり発見したりすること。脳内経験のツールとして、筆者は「脳内アングル」の活用を勧める。多角的に課題を検証して発想を広げ、思いもよらなかったアングルを発見したら、そこを起点に「脳内ツリー」で想像力を働かせるのだ。

 「主観は偏見に過ぎない」など、軽妙な語り口のなかに、ずしんと響く言葉が随所に。「人生には遊びやのりしろがあったほうがいいぞ」との先輩の教えが、今なら「データベースの肥沃(ひよく)さのことだと理解できる」との懐述にひざを打つ。

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