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未来のスケッチ [著]遠藤功

[掲載]2010年3月14日

  • [評者]勝見明(ジャーナリスト)

■串団子組織の「現場力」

 「うちは『串団子』なんです」

 廃園の危機から奇跡の復活をとげた旭山動物園の板東元(げん)園長の言葉だ。「団子」は個性も能力もさまざまな飼育係員たち。その団子に1本の「串」が通っている。「動物のすごさ、美しさ、尊さをありのままに伝える」という信念だ。

 早稲田大学ビジネススクール教授の著者が5年間、事例研究のため通ったのも、「串団子」こそ最高のパフォーマンスを発揮できる組織のあり方と感じたからだ。その報告記。

 入園者数が減少し、人も予算もないなかで、自分たちで観客の前に立ち、担当する動物の魅力を語り、パネルも手づくりした。日々の実践を通して意識を変革し、信念を体に染み込ませていった。

 理想の動物園とは何か。思いやアイデアを出し合い、イラストにまとめた「一四枚のスケッチ」が生まれる。信念や思いを具象化し「見える化」して求心力の核としたことに経営学者は刮目(かつもく)する。このスケッチが後に旭川市長を動かし、新施設の予算がつくのだ。

 1人が責任を持ってそれぞれの動物を受け持つ「担当制」を続け、アイデアを自分で考えさせる。旭山動物園は動物本来の動きを引き出す行動展示が有名だが、本当の競争力の源泉は個を活(い)かす串団子組織の「現場力」にあると指摘。

 それは冬の時代にも夢を語るなかで根づいた。今苦境にある多くの企業は語る夢を持っているだろうか。

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