サッカー日本代表の監督就任が確実になったオシム氏の半生を描いた『オシムの言葉』(集英社インターナショナル発行、集英社発売)が、大人気だ。紀伊国屋書店の単行本の3〜9日の週間ランキングでは、ベストセラーの『えんぴつで奥の細道』や『東京タワー』を抑えて堂々の1位に。「時の人」を扱った唯一の本だけに、品切れの書店も相次ぎ、一躍「時の本」となっている。
『オシムの言葉』は、サラエボ生まれの同氏の生い立ちや、ストイコビッチらの旧ユーゴスラビア代表を率いて8強入りした90年W杯の輝き、国家分裂、内戦などの苦難を背負いつつサッカーに取り組んだ90年代、そしてジェフ千葉を躍進させた日々などを描く。
「語録集」ではなく、旧ユーゴ諸国の取材経験が豊富な木村元彦(ゆきひこ)氏の本格的ノンフィクションだ。昨年末に出版され、ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受けた。
W杯までにすでに11万部に達していたが、先月24日、オシム氏の名前を漏らしたあの「失言」が飛び出した川淵キャプテンの記者会見で、この本の名前が出たことから、一気に出版元に注文が舞い込んだ。10万部を増刷したが、この人気を受けて10日にさらに10万部の増刷を決めた。担当編集者の高田功さんは、「サッカーファンにはかなり読まれていたと思うが、一般の人にも広がっているのはうれしい」と話す。
数多く出版された今回のW杯関連本には、これといったヒットがない。それを横目に『オシムの言葉』がここにきて主役に躍り出た格好だ。