 |
|
ファッション雑誌のような小学生向けの雑誌とバラエティーに富んだ教材
|
娯楽と勉強と生活情報。全国各地の小学生に均等に総合的な情報を提供してきた「学習雑誌」が節目の時代を迎えている。少子化が進み、新しいメディアができて興味の対象が広がるなか、長期的な部数減に対応するため、それぞれの編集部は頭を悩ませてきた。ひとつの回答として見えてきたキーワードは「絞り込み」だ。
◆職業・恋愛…毎号に大特集
1970年ごろから活躍する「ドラえもん」、80年代にブレークした「あさりちゃん」、90年代半ばに登場した「とっとこハム太郎」。時代を代表する人気キャラクターを世に送り出してきた小学館の学習雑誌は、その後もゲーム機メーカーなどとの連携で「甲虫王者ムシキング」「オシャレ魔女 ラブandベリー」という新たな人気者を次々と登場させている。
『小学一年生』など低学年向けの売り上げは、少子化の影響もあって部数そのものは減少傾向にあるものの、学年の児童数を分母に、売り上げ部数を分子に同社が推計した「占有率」は高水準を維持。編集内容に大きな変更は加えていないという。近年の最大の課題は、高学年向け雑誌の不振をどうするかだった。
「学年があがるにつれ部数が減っていく傾向は従来あった。近年は歩留まりが悪くなっていたということです」
こう言うのは小学館児童・学習編集局の入部幸洋・学年別学習雑誌プロデューサー。『小学六年生』の「占有率」は、ドラえもん人気や怪獣ブームといった追い風を受けた70年代半ばには、約27%あったものが、近年は6%台にまで下がっていた。
このため04年夏から社内に委員会を設置して編集内容を見直し、05年4月号から『小学六年生』をリニューアル。新誌面の柱は、毎号数十〜100ページ近くをワンテーマに割く「大特集」だ。
4月号の「12歳のハローワーク」は、モデル、歌手、大リーグ選手、農家、金融業など実際の職業人へのインタビューで仕事の特徴や生活のリズム、収入の目安などを紹介。医師の欄では、「現代の医者は完全にサービス業。昔のように偉そうにもしていられないし、何かあったらすぐに訴訟にまでなってしまう」と、実情を説明した。
「独自性を打ち出す必要があった。勉強に関する情報は塾で提供される。娯楽情報は様々なメディアもあり、男女で求めているものが違う。性差にかかわらず小学生が興味をもっている世の中の動きなどにテーマを絞り込み、『社会学習』という位置づけでとりあげていく」と入部プロデューサーは説明する。
特集によって増減はあるもののリニューアル後の部数は微増に転じたといい、「大特集」主義は継続中。すでに社内では近く『小学五年生』も同様の刷新ができないか検討が進む。
◆月刊→年4回 付録に工夫
『科学』と『学習』を発行する学研・科学ソフト開発部の佐藤幹夫・科学学習編集室長は、83年が子供文化の転換点だったと言う。「東京ディズニーランドが開業し、ファミリー・コンピュータが発売され、興味の対象が一気に広がった。1〜6年までの『科学』と『学習』の部数合計が600万部水準を維持できていたのは、このころまで。いまは下げ止まったもののあわせて100万部水準」と話す。
ここでも打開策は「絞り込み」だった。
とりわけ部数減が大きかった『学習』は04年に月刊から学期ごとの年3回刊に切り替え、雑誌本体の内容も付録も「つまずきやすい単元」のワンテーマに集中させた。これが奏功し、06年度は年4回刊に増やすことができた。たとえば今年度夏号の『6年の学習』は、「大阪城」や「火縄銃」のミニチュアキットなどがついた「日本の歴史・戦国時代セット」だ。
同社の小沼容(すすむ)・広報IR室長は「大人向けのメディアもそうだが、総合誌的なものは次第に求められなくなっている。これまで『科学』と『学習』という木を構成してきた一つひとつの枝の部分を伸ばしていく発想に切り替えた。あえて言えば『学習』は子供たちのニーズ(必要なもの)に応え、『科学』はウォンツ(ほしいもの)を提供していく。総合誌的なものに戻ることは考えにくい」と話した。