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ひと・流行・話題

岸本佐知子さん 日常に潜む「変」

2007年03月15日

 読書界には柴田元幸ブランドというものがある。英米文学者の柴田さんが翻訳を手がけたのなら、その作家の名前を知らずとも「柴田ごのみ」ということで手に取る人が少なくない。

 その柴田ブランドに続く勢いなのが、岸本佐知子さんの翻訳だ。最近出たジュディ・バドニッツ『空中スキップ』(マガジンハウス)では、犬の着ぐるみ姿の男や、母親へ心臓移植を強要される男ら、奇妙な状況下の人物のおかしくも切ない物語が紡がれる。

 これまでも、リディア・デイヴィス『ほとんど記憶のない女』(白水社)やイヴ・エンスラー『ヴァギナ・モノローグ』(同)などいっぷう変わった作家ばかりを訳している。奇想の、ご本人によれば「子ども脳の」作家が好きらしい。「群像」でも毎月、異なる作家の短編を翻訳する「変愛小説集」を連載中だ。

 その岸本さんの「変」のエッセンスがつまったエッセー集『ねにもつタイプ』(筑摩書房)も好評だ。家の中だったり幼稚園だったり、ごくごく日常的な場所から妄想が膨らみ出す。その炸裂(さくれつ)ぶりで、翻訳の対象に選ぶ作家にまったく負けていない。

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