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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>ひと・流行・話題> 記事 ひと・流行・話題 矢沢永吉を表紙に据え「反セレブ宣言」 週刊文春臨時増刊号2007年04月26日 ■出版隆盛、論議尻すぼみ 矢沢永吉を表紙に据え、ビジネスマンをターゲットにした週刊文春臨時増刊号が、メーン特集で「すべての働く男女に捧(ささ)げる反セレブ宣言。」を組んでいる。勝ち組・負け組といった言葉に象徴される風潮を、シニカルにきってみせる挑発的な企画だ。 特集は矢沢インタビューのほか、作家・山口瞳の文章に照らしてIT長者らをくさすコラムあり、殺人事件記あり。貧者に無担保でお金を貸す銀行家でノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌスさんの発言も詳細で、読み応えがある。 ところが後半、トーンは一転する。財テク情報や仕事ができるビジネスマン向けの「極上ホテル」に、「東大現役合格生のとにかく美しいノート100冊」。堅実を装いつつセレブ志向をくすぐるページが続く。広告の関係が大きいのだろうが、その落差に、格差の存在自体が手っ取り早いヒットチャンスとなり、消費される時代の底が透けてみえるようだ。 実際、セレブの対極にある「下流」「ワーキングプア」も、傾向と対策つきで増殖を続けている。『下流社会』の著者、三浦展さんの新刊は『団塊格差』だ。定年を迎える年になっても、まだ他人とこんなに比較させられるのかと思うと、気が重くなったりもするのだが……。 しかし、先の都知事選の結果をみても、政策決定の場での格差論議はいまひとつ盛り上がらない。北大教授の宮本太郎さんが「論座」5月号で書くように、人々は不安に駆られて格差社会の本を手にとるが「まだ『下』がいることを確認して胸をなで下ろすしかない」のかもしれない。 で、目立つものといえば教育雑誌の人気である。受験戦争の反省はどこへやら、親たちは我が子を何とかレールに乗せたい一心で尻をたたく。 袋小路の格差論。そういえば酒井順子さんと斎藤環さんの共著『「性愛」格差論』には、あえて近視眼的になって、物事を観察しすぎないことの効用が説かれていた。日常生活の重視。まずはそれも、格差時代の一つのサバイバル法か。
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