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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>ひと・流行・話題> 記事 ひと・流行・話題 第137回芥川賞・直木賞 選考経過2007年07月19日 17日に開かれた第137回芥川賞・直木賞の選考会では、芥川賞は群像新人文学賞を受けたばかりの新鋭、諏訪哲史さん(37)の「アサッテの人」が、直木賞は3度目の候補となる松井今朝子さん(53)の『吉原手引草』が選ばれた。
芥川賞の選考経過は、今回初めて選考委員になった小川洋子さんが発表した。諏訪さんは「頭二つ分くらい抜けて、すんなり受賞が決まった」という。 奇妙な言葉を発する、失跡した叔父について知的な構成でつづった小説で、「言葉を主題にしながら、人とのコミュニケーションや社会とのかかわりを賢く排除し、あくまで無意味な響きと叔父さんとの関係に集約させていく点が独特。それでいて、叔父さんの存在が体温をもって伝わってくる」と評価された。 次点には川上さん、円城さんが残った。川上さんの作品は「社会とうまくかかわれずに悩む姿を描く小説は多くあるが、悩んでいる自分だけを書いたところがいい、と評した委員がいたけれど支持を集めなかった」。円城さんは「人が降ってくるナンセンスな設定で、10〜20枚の短編ならおもしろいが、長くしたために不条理感が薄められ、不気味さやユーモアが感じられない」と退けられた。 柴崎さんは「人と人の微妙な距離感を描き、あえて人間を均質に見てゆく難しいことに挑戦した、と推す委員がいたが、賛同が得られなかった」。前田さんは「30歳のフリーターの生活ぶりが予想できる範囲に収まっていて、それ以上迫るところがない」、松井さんは「想像妊娠という神秘的なものになりうる題材と人間ドラマがうまく混じり合っていない」と評された。 ◇ 直木賞も新選考委員の浅田次郎さんが講評した。最初の投票で松井さんがほぼ満票を得、候補全作の検討後、2回目の投票でも抜け出た。 受賞作について浅田さんは「吉原案内をストーリーの中にとけこませ、吉原を全く知らなくてもよく知っていてもすんなり読める」と評した。全編語りという構成についても、「吉原の実際の言葉とは違うという人もいたが、芝居の世界としての吉原を、わかりやすく書いた。1章だけの新潟弁も手を抜かず、文化的事績である」と絶賛した。 受賞作と決選投票になったのは、北村さんと三田さんの作品だった。「北村さんは評価が分かれたが、力が一歩及ばなかった。三田さんについては、人物にあわせたオリジナル俳句を作るなど想像もできない力量があるが、全体的にゆるい」と指摘した。 畠中さんについては「わかりづらく、すんなり読めなかった」。若手の桜庭さん、万城目さん、森見さんについては「肯定的意見が多かった。それぞれに力があるので将来に期待したい」と締めくくった。 【芥川賞候補作】 円城塔「オブ・ザ・ベースボール」 川上未映子「わたくし率イン歯ー、または世界」 柴崎友香「主題歌」 諏訪哲史「アサッテの人」 前田司郎「グレート生活アドベンチャー」 松井雪子「アウラ アウラ」 【直木賞候補作】 北村薫『玻璃の天』 桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』 畠中恵『まんまこと』 万城目学『鹿男あをによし』 松井今朝子『吉原手引草』 三田完『俳風三麗花』 森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』
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