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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>ひと・流行・話題> 記事 ひと・流行・話題 対談・座談に芸能研究…出版ラッシュ続く小沢昭一2008年01月12日 小沢昭一の文筆での活躍が著しい。往年の著書が次々に復刻され、対談・座談を集めた「小沢昭一座談」全5巻(晶文社)もこのほど完結した。出版ラッシュは来年も続く。78歳の俳優の何が受けているのか。 小沢の本は、04年に完結した随筆集「小沢昭一百景」6巻(同)をはじめ、新著と復刻などこの4年で30冊近く出た。最近の落語ブームで多くの雑誌が組んだ落語特集でも、巻頭インタビューや対談に引っ張りだこ。落語ブームは小沢昭一ブームでもあった。つられて、小沢や桂米朝の師だった演芸評論家、正岡容(いるる)の著書まで復刻され始めた。 「ほんとうに、ありがたい、を通り越して何となく肩身が狭いんですよ」 戦後の寄席に通い詰めた経験と、大道芸・放浪芸を通して芸能のルーツを研究してきた知見が芸能史の貴重な語り部にしている。だが、そう水を向けると、さりげなく話題を変える。 「昔より今の落語ブームが一番すごい。ただ、昔の寄席には風情があった。下足番のおじいさんの『らっしゃい』って声とかね。ああいうのは今のホール落語にはなくなったなあ」 「小沢昭一座談」は65年から71年まで夕刊紙に週1回、計348回連載した対談から選んだ。お相手は俳優、作家から放浪芸人まで。この仕事が下敷きになって最初の本『私は河原乞食(かわらこじき)・考』(69年)ができた忘れられない仕事だ。 小沢は性にまつわる隠された文化にもこだわった。柳田国男や折口信夫らの民俗学ではあまり触れられなかった分野だけに、それらの仕事が今になって貴重となってきた理由の一つだ。 「ええ、柳田さんが落としたものを拾って歩きましたねえ。対談といっても十分な準備をしている暇がない。その場しのぎでした。ただね……」。以下、小沢流対談のコツ。 「誰にでも、言いたいこと、不満に思っていることは必ずあるんで、そこから入るんです。まず、愚痴を聞くの。愚痴をぜーんぶ聞いてから、ちょっとだけ、こちらが聞きたいことを聞く。だから、時間はたっぷりとります」 意外にも、2人きり、サシでの対談はあまりない。「聴衆がいて、こっちの話にウケたりすると、話している側もノッてくることがある。ご自宅でやることはないなあ、家族には聞かせたくない話、多いでしょ」 録音したテープでまだ活字になっていないものが大量にある。中でも研究者にとって気になるのは70年代に発表されたLP全集「日本の放浪芸」に未収録の膨大な音源。これをまとめる話も進んでいるという。 「私は攻めばかりで、守りがない。次のことでいつも手いっぱい。売れなくなったらやろう、老後の楽しみにと思って。ところがなかなかそうはいかない」 春に刊行予定の「小沢昭一全仕事」も含め、出版の予定はきりがない。「老後の楽しみ」に手がつくのはいつになるだろうか。
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