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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>ひと・流行・話題> 記事 ひと・流行・話題 島田雅彦さん、新連載小説「徒然王子」への思い語る2008年01月17日 島田雅彦さん(46)の連載小説「徒然王子(つれづれおうじ)」が、20日朝刊から始まる。とある国の“憂愁の森”に暮らす王子がドロップアウトし、古代から現代まで様々な人生を体験する風変わりなファンタジーだ。「ぼくのファウストであり、神曲である」と語る島田さんに、連載開始にあたっての思いを聞いた。
物語は、王子が宮廷から「夜逃げ」し、過酷な現実社会に飛び出すところから始まる。元お笑い芸人で従者のコレミツとの弥次喜多道中だ。世捨て人や「ホープレス」と交わり、裏側の社会を見て回る王子。その後、5回分の前世を生き直し、浮かばれなかった人々の「魂鎮(たましず)め」を行う。果たして王子は元の世界に帰ってこられるのか? 昨年、スピリチュアル・ミステリーと銘打った『カオスの娘』(集英社)で、新境地を開いた。今回は、王子が自らの無意識の暗闇と向き合うダークファンタジーで、作者が秘めていた想像力が爆発する。 「かつて、あの世や前世は現実界のすぐそばにあった。誰もが夢や瞑想(めいそう)をきっかけに、広大な無意識の領野に遊んだ。現代では妄想さえも病気として扱ってしまう。これまでもフィクションの自由を行使してきたが、まだ自分の無意識と向き合うのを恐れていた。でも、この年でようやく本能や理性の原点に戻れるような気がする」 時空を超えるファンタジーは少なくないが、島田さんが目指すのは、最も古い世界観である神話だ。「神話は、古代人の叡智(えいち)を物語形式でコンパクトにまとめたもので、彼らの自然観や世界観を表明した歴史の記述でもある。古代人の奔放な想像力を思い出すところから始めたい」 神話にのめり込むと同時に、考古学や歴史にも興味を持っている。王子がいくつもの前世を生きるということは、太古から続く人間の歴史を駆け抜けることになりそうだ。 「2000年以上前に書かれた古代ギリシャ悲劇や『史記』に感動できるのだから、私たちは古代人と友人のように接することができるはずだ。この作品を通じて問いかけたいのは、いきなり戦国時代や縄文時代に放り出されても、生きていけるか、ということだ。おそらく、弱体化し、想像力に欠けた現代人には難しいだろう。だが、あきらめてはいけない。おのが感覚と本能のリハビリを行えば、古代でも生きていけるはずだ。主人公の王子を通じてそれを実験してみたい」 現代社会が抱える問題を常に作品に反映させ、老若男女様々な人生を描いてきた。「その結果、もはや自分のことを描くのも他人のことを描くのも一緒になった。たった今から他人の体を借りて、生きることになったとしても、王子のように受け入れようと思う」 純文学もファンタジーもミステリーも同じなのだという。「ジャンルに関係なく、フィクションの自由を最大限使い、子どもも老人も血湧(わ)き肉躍る小説を書く。これはケータイ小説に対する新聞小説の逆襲だ」 ◇ 携帯サイト「朝日・日刊スポーツ」(月額105円)でも配信、朝日新聞社の無料会員サービス「アスパラクラブ」のホームページでも新聞購読者会員向けに掲載します。
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