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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>ひと・流行・話題> 記事 ひと・流行・話題 新刊書店が古書も売る 有力書店チェーンなど動き広がる2008年01月17日 新刊書店が古書を売る動きが広がりそうだ。「新刊が売れなくなる」とタブー視されてきたが、長野県などの有力4書店チェーンが今月、古書の買い取りと販売を手がける共同出資会社をつくるなど、模索が始まっている。背景には、新刊点数が増え続ける一方で市場が縮小し、新刊だけに頼っていては業界がもたないという危機感がある。
■ブックオフやネットに対抗 長野県中心に63店舗を持つ書店チェーンの平安堂は、06年に古書の買い取りと販売に乗り出した。 JR長野駅前にある平安堂長野店。約2000平方メートルの新刊書店から3軒隣のビルに、約100平方メートルの「古書センター」がある。「高価買い取り」をうたい、ベストセラーなら定価の半額、発行から3カ月以内の新刊なら30%。「売ったお金でまた新刊を買いにきて」とアピールする。 古書参入のきっかけを、平野稔会長は「もはや新刊だけでは読者の需要に応じられない」と説明する。新刊点数は年間8万点を超えるが返品率も4割に達し、本が短命になってきた。長野県に関係する作家のフェアをしたくても、「重版未定」などで手に入らない。 高価買い取りをPRするのは、新古書最大手「ブックオフ」との違いを明確にするためだという。「本は安ければいいものではない。プロの目で適正な価格をつけ、既存書店主導で出版文化を守る」と長崎深志取締役は話す。 懸念された新刊売り上げの減少はなく、読み終えたミステリーを売って、新刊を買っていく常連客もいるという。 滑り出しが順調なことから、今月下旬に平安堂のほか、勝木書店(福井市)、金高堂書店(高知市)、田村書店(大阪府豊中市)が共同で出資し、古書の買い取りと販売の新会社を設立する。ネットワークを広げて本を調達しやすくし、4書店間での古書の流通も検討する。今後も出資を募り、1000店を超える「地域書店連合」をつくるのが目標だという。 最初に新刊書店チェーンで古書ビジネスを始めたのは、広島市のフタバ図書だ。00年に広島駅前の大型店で買い取り・販売の「リサイクル」を始め、現在は35店舗で買い取り、10店舗で販売する。 JR広島駅構内に昨春開いた店舗は、出張のサラリーマンでにぎわう。新幹線で読み終えたばかりのビジネス本を売るサラリーマンも多く、約8万冊が並ぶ。立地に応じて品ぞろえを工夫し、新刊の売り上げにも相乗効果があるという。 世良與志雄社長は「最初は業界内の抵抗が激しかった」と振り返るが、「手をこまぬいていればブックオフの低価格路線が業界標準になる。新刊書店が魅力があるうちに始めないと書店離れは一層進む」と踏み切った。 古書ビジネス拡大の背景には、新刊書店の経営難がある。もともと書店の純利益率は1%にも満たず、90年代半ば以降は市場が縮小して、書店は次々と姿を消している。出版社のアルメディアによると、昨年5月1日現在の全国の書店数は約1万7000店で、02年から15%も減った。 本が安く買えるブックオフや、アマゾンをはじめとするネット販売なども、新刊書店には逆風だ。店に足を運んでもらいたいからこそ古書の併売に乗り出した、窮余の策ともいえる。 とはいえ、古書ビジネス拡大に懸念もある。中小零細出版でつくる出版流通対策協議会(高須次郎会長)は、取り次ぎ各社に対し、「新古書にマークをつけるなど、新刊と区別するルールを作ってほしい」と申し入れた。古書が新刊に混入し、書店から出版社に返品される恐れがあるという。導入書店は独自の値札をはりつけるなど混入防止策をとっているが、「電子情報で本を管理するICタグの導入など、流通の多様化に対応したシステム整備が不可欠になる」(出版社幹部)という声も出ている。 ■絶版本・SF…分野絞り展開 東京・神田神保町の大手書店でも、ジャンルを限定し絶版本を集めるなど、特色をつくりながら古書を売る動きがある。 東京堂書店は21日から、文庫専門古書店の「ふるほん文庫やさん」(広島県)と協力して、絶版や品切れの文庫本の古書ばかり1万点を常備した売り場を設ける。昨夏に開いたフェアや、その後、2500点ほど置いたコーナーが好調で、本格的なコーナーを設けることになった。 同店の佐野衛営業担当取締役は「文庫は、希少価値があれば定価より高くても売れる。昨年夏のフェアでは月に100万円以上を売り上げた」。ふるほん文庫やさんの谷口雅男会長は「現在、新刊ルートで流通中の文庫は約3万点程度。1万点を常備するのは全国的にも例がないのではないか」と話す。 三省堂本店は昨秋、SF古書に特化したコーナーを設けた。通常の売り場に古書を入れたのは初めて。SFはもともと、同店の得意ジャンル。20年ほど前のブームに比べると、最近は新刊の流通が減り、それならと絶版や品切れになっている旧作の販売を考えた。 古書サイト「スーパー源氏」の運営会社の紫式部(横浜市)に企画を持ちかけて実現した。三省堂の手塚幸弘社長室長は「ネットと店舗では客層や売れ筋も違う。今後、来店者に好まれる分野を探し、ジャンルを増やすことも考えていきたい」と話している。 ここから広告です 広告終わり この記事の関連情報ひと・流行・話題 バックナンバー
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