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人気加速、翻訳が続々 新直木賞作家、桜庭一樹さん

2008年01月31日

 新直木賞作家、桜庭一樹さんの人気が加速している。受賞作『私の男』(文芸春秋)が半月で11万部を増刷したのを始め、昨年の日本推理作家協会賞を受けた『赤朽葉(あかくちば)家の伝説』(東京創元社)も1万部増刷では足りず、さらに重版の予定。テレビの特集番組も相次ぎ決まり、海外での翻訳も進んでいる。

 『私の男』は、東京と北海道・紋別を舞台に、「父娘」の禁断の愛を描いた。不快感を示す人もいるが、神話や古典、少女マンガにはなじみ深い主題だ。桜庭さんは、倉橋由美子の『聖少女』を思い出しながら書いたという。

 「特殊で極端な話ではあるけれど、子供は親が好きなもの。特別なつながりという意味では共感してもらえるのでは」

 直木賞の北方謙三選考委員はリアリティーのなさや表現のつたなさを指摘しながらも「いろいろ言ってもしょうがない作品」との表現で、存在感を評価した。

 99年にライトノベルでデビューし、美少女探偵シリーズでブレーク。初めて大人向けに書いた『少女には向かない職業』(東京創元社)で40〜50代読者を獲得した。「大人や男性にもあるだろう感覚を、少女という器で増幅させてきた」

 サイン会には中学生から60代の男性も並ぶ。「昔の本を読んできたので年上の人とも話が合う。様々な世代による考え方の違いを書きたい」と言い、「『私の男』では、大人の男や祖父の世代も、じっくりと描けた」と自負する。

 作品の原点に、祖父母が買ってくれた「ああ無情」などの子ども向け世界名作全集がある。初恋の人はシャーロック・ホームズ。やがてガルシア・マルケスらの壮大な物語に夢中になった。「自分も、未来の人にも読んでもらえる普遍性のある物語を書きたい」

 『赤朽葉』は故郷の鳥取を舞台に、女3代にわたる一族の盛衰と日本の戦後史とを絡めて描いた大河ロマン。山陰地方の民俗史や神話的要素もちりばめたマジックリアリズム的作品だ。

 「地方を舞台にすれば血縁や家制度など、日本の縮図を描けると思った」と話す。地方都市を舞台にするのは、読者の共感を大切にするからでもあるという。「多くの人は地方出身。都会人もノスタルジーを持って読んでくれている」

 『私の男』『赤朽葉』は2冊同時に今年の本屋大賞の候補になり、テレビ「トップランナー」「情熱大陸」への出演も決まっている。国内だけではない。韓国や台湾、ドイツで翻訳が進む。「自分も海外小説で育った。翻訳は気になります」と話す桜庭さん。その人気は世界へ広がるか。

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