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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>ひと・流行・話題> 記事 ひと・流行・話題 田口ランディさん、新作『キュア』でがんの恐怖問う2008年02月22日 増え続けるがん、その先にある死、それらが呼び起こす恐怖とはいったい何なのか――。デビュー以来、現代人の心が抱える問題を考えてきた作家田口ランディさん(48)が、がんそのものをテーマにした小説『キュア』(朝日新聞社)を刊行した。 『キュア』の主人公は、「メスをアンテナにしてダウジング(探査)」する特殊な能力を持つ天才外科医。がんを見つけ、切り取り、血管を処理して洗浄、縫合までを高速でやり遂げる手術のさまは圧巻だ。その彼が肝臓がんだとわかる。現代医学での治療を拒み、彼自身の救済方法を探していく。 「科学者であり神秘的な力を持っていても、『死』という大きな運命は変えられないということを、際だたせたかった」という。 がんをテーマにしたきっかけは、あるがん患者から「文学は、がんを装置として消費している」と言われたことにある。執筆途中にベラルーシのチェルノブイリ事故の被曝(ひばく)地帯の村を訪れた。「そこに生きて住んでいる人たちと出会い、怖いのは死なのか、がんなのか分からなくなった」。その後、「医療のほか代替療法や宗教も含め、がんを取り巻く状況を検証して、どう恐れられているのか、とらえ直したくなった」。 「生や死って、なんなんだろう」。そんな答えの出ないことを考えるのが、楽しくてしょうがないという。「性分なんです。堂々巡りの中からポンッとひらめきが訪れる一瞬が快感」。ただ、「作品は答えではなく、問いを投げ入れた私の思考の軌跡」という。 執筆中、父にがんが見つかり、今年1月にみとった。兄や母の死をへて「宿敵」とも思った父だったが、看病で半年じっくりつきあい、「許せた」と思った。 「今は許すことが難しい時代だなと思う。あちこちで『許せない』という表現をよく見るし。でも、許せない苦しさ、つらさ、どうやったらそこから逃れられるかは、まさに自分の問題なんです。それを読者と一緒に考えていける作品を書きたい」 ここから広告です 広告終わり ひと・流行・話題 バックナンバー
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