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戦前の版画誌運動1冊に 元司書の加治さん、25年かけ

2008年5月24日

 元図書館司書の加治幸子さん(61)が、戦前の版画誌運動を25年かけて1100ページを超す本「創作版画誌の系譜」にまとめた。全国で刊行された111の雑誌に収録された9千点以上の版画図版が収録されている。恩地孝四郎、棟方志功、川上澄生などによる戦後の版画全盛が、創作版画の積み重ねから生まれたことがよくわかる。

 創作版画誌とは、版画家自らが版を作り刷った作品を集めた少部数の雑誌で、明治末期から栄え、第2次大戦期まで続いた。印刷手段でなくなった版画が、「芸術」としての地位を求めた運動の一環だった。

 加治さんが戦前の版画に興味を持ったのは、77年に東京都美術館の司書として版画誌を担当した時だ。全作品を収録するために、休みを使って全国の美術館や所蔵家のもとへ自費で通い、すべてのページを写真に収めた。1日500回もシャッターを押し、腱鞘(けんしょう)炎になったことも。

 6月8日にはアート・ドキュメンテーション学会賞を受賞する。「誰かがやらなくてはと思ってここまで来た。今後の版画研究の基礎資料になれば」と言う。創作版画誌は、現在東京都現代美術館で開催中の「屋上庭園」展(7月6日まで)で数冊展示中のほか、同館図書館が所蔵している。(古賀太)

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