現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. BOOK
  4. ひと・流行・話題
  5. 記事

「子供は希望のある存在」 新連載小説の川上弘美さん

2009年9月5日

写真川上弘美さん=高波淳撮影

 川上弘美さんの連載小説「七夜物語 ななよものがたり」が10日付朝刊から始まる。主人公のさよは、小学4年生になったばかりの女の子。ほんの少しだけ大人への入り口に近づいた彼女は、不思議な世界への扉をみつける。そこには、どんな出会いが待っているのだろうか。川上さんに聞いた。

 川上さんは「もともと児童文学が大好きで、いつか子供が主人公の物語を書きたいと思っていた。最近、長編をようやく書けるようになって、いよいよ書いてみようと思った」と意欲を語る。「私の小説の中では一番小さな主人公」だという。

 さよは、母親と2人で暮らしている。お母さんが大好きで、お母さんもさよが大好き。だけど、お母さんにはちょっと不思議なところがあって、テレビとバナナが嫌い。出版社に勤めているから本が嫌いなはずはないのに、なぜか図書館も嫌いだ。その理由が、さよにはわからない。本が好きなさよは、図書館でお気に入りの本を見つけるのだが……。

 「さよは、ごまかしたり自分にうそをついたりするのが嫌いな女の子。この年頃というのは微妙で、大人のにおいはしないけど赤ちゃんでもない。純粋に子供でいる時期。その子供が今までにない『何か』に出会って、どう変わっていくかを書いていきたい」

 さよの両親は離婚していて、離れたところにいるお父さんに会いたくなってくる年頃でもある。同級生の男の子仄田(ほのだ)くんも両親の離婚で、お父さんとおばあちゃんたちと暮らしている。2人は本が好きなので図書館でよく会う。彼らを不思議な世界へと誘うカギは、どうやら、さよのお気に入りの本にありそうだが。

 「その本のタイトルが『七夜物語』なんです」と川上さんは、こっそり教えてくれた。「さよが大好きな『七夜物語』が入り口となって、さよと仄田くんは不思議な世界に入って行き、七つの夜を体験します」

 川上さんは、小学4年生のころの自分自身をできるだけ思い出しながら書いていくという。

 「子供は大人の変なてらいもなく斜に構えることもなく、存在としてとても希望に満ちたものだと思う。もちろん、けっこううそをついたり、いいかげんだったりもするが、そういうことを差し引きしても子供は希望のある存在。よく生きられる可能性をもった存在であり、そのエネルギーを持っている。それがすばらしい。子供ってこんなに強かったよね、こんなに繊細だったよねと思い出しながら書いていきたい」

 2人を不思議な世界へと誘う『七夜物語』は、いったい誰が書いた、どんなお話なのだろうか。そして、物語の行く末は……。残念ながら予告編はここまで。川上さん自身「まだ茫漠(ぼうばく)としています」と話す。川上さんから紡ぎ出される新しい物語の誕生に、読者のみなさんとともに立ち会いたい。(都築和人)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

検索

POWERED BY Amazon.co.jp