2010年1月23日
「sweet」2月号(右)。表紙を飾る浜崎あゆみさんと「付録」の写真が、雑誌名を覆い隠す大胆なレイアウト。左は昨年発売の「キャス・キッドソン」のブランドムック。
宝島社の“付録攻勢”が止まらない。自社開発のブランド小物を付録につけたファッション誌やブランドのコレクションカタログで昨年、雑誌不況と言われる中で次々とヒットを飛ばした。さらに今月12日発売の女性誌「sweet」2月号は同社の史上最高部数という初版105万部。しかも、発売から1週間でほぼ完売という勢いだ。
発売から8日後の20日。東京・新宿の紀伊国屋書店新宿本店では、同誌は数冊が残るのみだった。売り場の壁には、付録のファッションブランド「Cher(シェル)」のトートバッグが飾られていた。売り場担当の柳田愛子さんは「実はもっと発注したかったのですが、全国の書店から注文が殺到しているということで。残念ですが」。
同誌は部数を飛躍的に伸ばしてきた。2007年7月の発行部数は20万部だったが、08年1月には40万部、09年4月には60万部、同9月には70万部。勢いの源は付録の魅力にほかならない。同社が女性誌や男性誌の毎号に、人気ブランドの限定品を自社開発した付録をつけ始めたのは04年。ブランド側と議論を重ね、素材や値段にこだわったアイテムはコスメポーチやバッグが中心だが、ブランケットなどの変わり種もある。
05年からは一層この「アイテム」を主要商品化し、個別のブランドの季節ごとのコレクションカタログに付録をつけた「ブランドムック」を展開。昨年は「Cher」の秋冬コレクションムック70万部も完売。「イヴ・サンローラン」のコスメ部門のムックは初版100万部だった。
この勢いに、他社の女性誌も付録を充実させつつあるが、「sweet」やブランドムックほどには部数を伸ばすに至っていない。ある大手書店員は「流行の押さえ方や素材感など、消費者のツボを押さえています」と語る。
“付録商品”の熱烈な支持者は20〜30代前半の女性たちだ。同社のムックや女性誌の付録をすでに10個近く購入したという都内の女子大生(22)は、「千円前後で買えるから、かわいい付録には飛びつきます。いつもは『sweet』を読まない友だちも、付録が欲しくて買ったりしますね」。友だちが持っていた付録を気に入り、書店をはしごしたこともあるという。
マーケティング会社「ブームプランニング」代表の中村泰子さんはこう語る。「数年前、女子大生やOLが競うように持ったのはエルメスのトートバッグやプラダのリュックでした。ところが今は千円前後のエコバッグやポーチ。時代の変化を感じます」
このブームをデフレ時代の「一時の消費」ととらえるか、それとも雑誌の目玉企画としての「定着」ととらえるか。同社は今春までに約20種類のブランドムックを発売予定という。(浜田奈美)