オタクの純愛物語として大ヒットの『電車男』。が、真の電車男はココにいた!
トラベルライター・横見浩彦。87年、国鉄全線完全乗車、95年、JR全駅下車達成。さらには私鉄を含む全駅下車も達成間近という筋金入りの“鉄オタ”だ。
この横見氏を案内役に、鉄道に興味のないフツーの女性漫画家と編集者が、日本全国を旅して回る紀行マンガ。が、その旅というのがフツーじゃない。片道30分のローカル線を6時間かけて行きつ戻りつ全駅乗下車、130円で1都6県大回り(所要時間15時間)、東京−鹿児島2泊3日鈍行の旅など、何でわざわざそんなことを……と呆(あき)れるようなものばかり。旅の楽しみは過程にあり、とはいうものの、過程のみで目的地のない本書の旅は、本末転倒というか一般人の目にはほとんど無意味。しかし、無意味だからこそ、そんなことに異様な情熱を注ぐ横見氏と、駅弁だけを楽しみに嫌々付き合う作者の姿に、笑いながらもある種の感動を覚えるのだ。
カルトな人気番組「水曜どうでしょう」の名物企画「サイコロの旅」的味わいは、読み始めるとクセになる。「観光なんかしてる場合じゃない」といった横見語録、カッチリしてるけど愛嬌(あいきょう)のある絵柄と細かいツッコミもナイス。何だかんだ言いつつ徐々に“鉄”に染まっていく作者同様、ちょっと鉄道の旅に出てみたくなる自分が怖い。