人類に災厄をもたらす者たちと闘うことを目的としそれを日々実践する。本書は正義隊と称する、そういう団体の活動報告である。
正義隊の敵は、山手線内に爆弾を持ち込んだ男、強い波動を発して地面を陥没させ自動車に轢(ひ)かれても死なない強靭(きょうじん)な肉体を持つ男、舌を蛇のように伸ばすことのできる女、半人半獣の金星人、水の流れを自在に操り地上に大雨を降らせる祈祷(きとう)師、誰にでも取り憑(つ)き悪事を働く空気のような男、など多彩である。
しかしそれらの敵が人類に災いをもたらす理由はまったく不明だ。正義隊結成の動機もまた不明である。正義隊のメンバーは人間7人犬1頭。皆、自分たちの思想信条や倫理観について多くを語らない。むしろ行動実態を見て判断せよ、というがごとき大胆なアクションを見せるのである。しかも正義隊は武器らしい武器は手裏剣ぐらいしか使わない。げんこつや蹴(け)りで幾多の難敵に立ち向かう。
正義隊の闘争実態同様、本作の画風も極めて素朴である。コントラストが強く暗い画は1コマ1コマが独立した木版画を思わせ、遠近感が乏しい平らでガサツな空間を激しく動きまわる登場人物は、皆木彫りの像のようだ。犬さえも。
正義とは何か、との問いを強引に投げつける意欲が全画面から立ちのぼっているのだが、あまりの朴訥(ぼくとつ)さに見る者を呆然(ぼうぜん)とさせてしまう怪作である。