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コミック教養講座

コーヒーもう一杯 [著]山川直人

[掲載]2005年11月20日
[評者]湯浅学

 その昔(昭和三六年)、西田佐知子は「コーヒー・ルンバ」で、コーヒーの香り、色合い、その魅力を軽快に歌った。生活の様々な場面、人生の色々な心の持ちように、コーヒーは名脇役として登場する。

 苦味(にがみ)と甘味(あまみ)と酸味が同居する。同じように抽出したつもりでも、その都度、三つの味のバランスは変化する。一杯のコーヒーを前に、人は考え、語り合い、沈黙し、微笑(ほほえ)み合う。コーヒーを味わうことで、冷静さを取り戻す人もいる。

 本書は、コーヒーのある風景、コーヒーにまつわる人と人のドラマを集めた短編集である。作者のコーヒーへの愛着、愛情がしっとり伝わってくるのはもちろん、おいしいコーヒーの淹(い)れ方が組み込まれたお話もあって、実践的でもある。

 それよりもなによりも、心の歪(ひず)みや弱さにそっと染み込んでくるコーヒーのように、ほろ苦い思いや甘酸っぱい後悔を柔らかく描き出す山川の画力、構成力に唸(うな)らされる。コーヒー名人による極上の一杯のような充足感がある。

 小さなドラマのひとつひとつに、普遍的な切なさがあり、ささやかだが失いたくない喜びが紡がれている。

 細く丁寧に引かれた陰影の線の一本一本が、挽(ひ)きたてのコーヒーのように香り高い。なお前書きにもあるが、本書のタイトルはもちろんボブ・ディランの同名の曲に由来している。



関連情報

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    書籍詳細

    表紙画像

    コーヒーもう一杯(1)

    • 著者: 山川 直人
    • 出版社: エンターブレイン
    • ISBN: 4757723024
    • 価格: ¥ 683

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