まっすぐで心優しく、ちょっとおちゃめな女の子が活躍する学園コメディだ。毎回たっぷりの笑いの中に、ちょっぴり感動的なエピソードが描かれるのだが、ひとつだけ尋常ではないのは、主人公の設定だ。一見普通の女子高生だが、背後にはいつも黒い服のオヤジがつきまとっている。実は彼女、腹話術師が後ろから操る人形なのだ。
オヤジは黒衣に徹するが、周囲からはその奇妙な姿が丸見えだ。しかしオヤジは決してひるむことなく女子高生スミレを操演しつづけ、周囲も徐々にそのペースに飲みこまれ、やがて「彼女」を受け入れていく。
なんとも微妙な気持ちにさせられる作品だが、考えてみればこれは現在の「萌(も)え」産業の構図そのものだ。漫画やアニメで人気の美少女キャラクターは、多くの場合男性が作り、動かしている。普段は見えないその舞台裏の実態を、この作品は白日の下にさらけだしてみせるのだ。
それでいながら、この作者は決して皮相的にはならない。むしろ、そんな舞台裏をあからさまに描いた上で、なおそこに真実があることを描こうとする。「それでも萌えられる」のだと。その腹の据わった前向きさには、思わず圧倒させられる。その熱気は、本作を一発ネタで終わらせずに、舞台を月刊誌から週刊誌へと移し、題名を「スミレ16歳!!」と改めて、現在も連載継続中だ。