毎回切れ味のいいギャグで、家庭や学校での日常的な笑いを描く本作は、キャラクターのかわいい見かけとは裏腹に、きわめてシビアな現実認識を潜ませた、毒の効いた作品だ。
主人公の前に突然現れた美少女キャラクターが、押しかけ女房的に同居しはじめるというパターンのコメディは、男性向けのまんがの定番のひとつだ。このまんがも、その形式を踏襲する。ただしその同居人は、地獄からやって来た悪魔だ。
その悪魔はなぜか人間を救い、世界を平和にするために、地道な奉仕活動を開始する。地獄は来る人が多すぎてあふれ返り、もういっぱいなのだ。破綻(はたん)しかけた地獄を守るため、悪魔たちは地上に現れ、地獄行きの人間を減らすべく世直しを開始したのだった。一方、悪魔を目の敵にする天使は、自らの正義を信じて疑わず、神の名の下に力をふるい、人々に天罰を下そうとしつづける——。
毒のある表現をするまんが家は、他にも多い。むしろ、刺激的な表現を求めて、いたずらに毒をまきちらす人なら、掃いて捨てるほどいる。だが、本当の意味で毒を武器にしてまんがを描ける人は、決して多くはない。
ブラックなギャグや、毒のある展開を描くからこそ、その向こう側に、純朴で無垢(むく)な何かを表現することができる。そんな腹の据わった著者の力強さと、繊細さが伝わってくる力作だ。