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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>BOOK>コミックガイド> 記事 コミックガイド 実録!関東昭和軍 [著]田中誠[掲載]2006年12月10日 今夏、甲子園を沸かせた「ハンカチ王子」。あのフィーバーは、純粋で健全で爽(さわ)やかで……という世間が高校球児に期待するイメージを如実に表していた。 本作は、そんな高校野球の“理想像”を遠慮なく打ち砕く異色作。甲子園まであと一歩という強豪校の野球部を舞台に、軍隊式のスパルタ指導、先輩による後輩いじめ、仁義なきレギュラー争い、監督やコーチの私利私欲、野球名門校として売り出したい理事長の思惑などが露悪的なまでに描かれる。まさに「昭和軍」の名にふさわしい時代錯誤な体育会系ノリは、ギャグとして笑える。が、似たような状況は今でも結構あるのではないか。 野球マンガは数あれど、高校野球のダークサイドを、ここまで露骨に描いた作品は見たことがない。それでも後味の悪さがないのは、清濁併せ呑(の)むというか、そういうダークな部分も含め、根底に“必死で生きようとする者”への愛情があるからだ。語り手である1年生部員は言う。〈関昭野球部の人間は大なり小なり将来を野球で切り開こうという考えの持ち主の集まりです〉。そこで己の価値を上げるために是が非でも甲子園に出たい。そんな“不純な動機”を作者は否定しない。作者の放つ毒は、高校球児をきれいごとの世界に押し込めておこうとする高野連や文科省、マスコミに向けられている。高校球児はピュアであるべき、と信じる人は読まないほうがいい。
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