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コミックガイド

サムライカアサン [著]板羽皆

[掲載]2007年01月07日
[評者]ササキバラ・ゴウ

 うっとうしくも、ありがたい、母の愛を描いたコメディ作品だ。登場するのは関西弁をまくしたてるパワフルなオカン。いつも明るくて笑いが絶えず、しかも涙もろいオカンは、息子が何歳になっても、照れも恥じらいもなく、ベタベタの愛をぶつけてくる。思春期の息子の方はたまらない。なんとか距離を置こうとするが、簡単に引き下がる母ではない。その綱引きのドタバタ劇がギャグタッチで描かれる。

 母の愛はうっとうしい。たぶんそれは、その愛があまりにもまっすぐで、無償で、まじりっけがないからだ。受けとめる側にとっては重荷であり、逃げ出したくなる。しかし、まっすぐな愛には、どうしてもうっとうしさがつきまとうのが現実だとしたら、人は結局そこから逃げられない。ここに登場するオカンは、そのうっとうしさをツッコミ漫才で蹴散(けち)らして、正面から迫ってくる。だから、笑いとともに、うっとうしさが吹き飛ばされたとき、そこにはただまっすぐな愛だけが残る。読む者はいつのまにかオカンに巻き込まれ、その愛情の根っこにある乙女心のいじましさに、胸の奥をわしづかみにされてしまうのだ。

 読み終えるころには、オカンのうっとうしさが、かわいらしく思えてきて、「愛なんて、うっとうしくてナンボや!」という気分にさせられてしまう。

 関西弁の勢いと優しさが心地よい、幸福な読後感の作品だ。

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